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30年後、僕たちはみんな芸人になっているのかもしれない。〜(レビュー)火花 又吉直樹著
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    火花 又吉直樹著 文芸春秋

    漫才コンビ「スパークス」として芸人をしている主人公徳永は、あるイベントで違う事務所の先輩神谷と出会います。

    神谷は最も芸人らしい芸人でした。常に笑いのことを考え、笑いのために行動し、どんなことも笑へと転化していきます。

    神谷は徳永に言います。「俺の伝記を書け」と。それはつまり、彼が芸人として語るに値するようなことをしていくという意思表明なのです。

    しかし、現実は神谷が芸人として振る舞えば振る舞うほど厳しいものになってゆきます。

    神谷がどれだけ「芸人らしい芸人」であったとしても、彼は「売れる芸人」にはなれないのです……。


    先日、あるテレビ番組で、物理学者が「シンギュラリティ」について述べていました。

    シンギュラリティとは技術的特異点のことで、2045年には人工知能は人間の知能に追いつき、凌駕しているかもれない、と言われています。

    その頃にはコンピューターの値段は1セント以下、つまりほとんどコストゼロになっています。

    この話題でよく取り上げられるのが、「将来の仕事はどうなるのか?」という問題です。

    「シンギュラリティ」の根拠の一つは「ムーアの法則」と呼ばれる経験則ですが、SF作家のアーサー・C・クラークは「幼年期の終わり」という小説において、全く別の観点から、同じような未来を想像しました。

    それは圧倒的な軍事力を持つ宇宙人の飛来、地球の征服によって各国は軍事費を使う必要がなくなる=科学技術にお金が投入される=技術の発展というものです。

    そうなった時、人類はどうなるか。クラークの予想では、「誰もが芸術家になる」というものでした。

    それは「シンギュラリティ」がもたらすと言われる未来予想ととてもよく似ています。曰く、「反復的な仕事は皆、人工知能にとってかわられる」と。

    つまり、未来の世界では今現在僕たちが「仕事」と呼んでいるものの多くは「仕事」ではなくなり、僕たちが「仕事」とは呼べないようなことが「仕事」になるのかもしれない。

    実際歴史を振り返ってみれば、確かに科学技術の発展と「芸術家」の数は比例するのかもしれません。ラスコーの壁画が描かれた古代、パトロンが芸術家を支えた中世、そして現代と比較してみたら今現在が歴史上最も多くの「芸術家」が存在するでしょうし、ということは、未来はもっとそうなっているのでしょう。

    それは一見、とても明るい未来のように感じるかもしれません。この世の中からつまらない仕事がなくなってしまうとするのならば。


    ……でも、実は僕自身は未来についてあまり楽観的ではないのです。「シンギュラリティ」に近いことはきっと数十年先に起こるのでしょう。科学技術が発展するということは予言でもなんでもないことですから。

    ただ、どれだけ歴史を振り返っても、どれだけ科学技術の発展そのものを肯定しても、覆せない事実があります。

    一つ、「科学技術の発展は、貧富の格差の解消をもたらすわけではない」ということ。

    記録が残っている範囲内で見ると、歴史上最も格差のなかった時代は第二次世界大戦中だった、と言われています。今現在ではなく。

    そしてもう一つ、「生物として生存しやすくなることと、人間として幸福になることは同じじゃない」ということ。

    もちろんこの二つは、科学者からしてみれば言いがかりでしかありません。当然です。これらは科学技術とか物理的法則とは全く別の問題、社会構造の問題であり、人間関係の問題なのですから。

    だけど僕たちは科学がもたらす未来を考えるとき、なぜかその二つも同時に解決されるような、そんな錯覚をしてしまうのです。


    クラークが予想したように人類が皆芸術家となるとしても、誰もがピカソのようになれるわけではないでしょう。未来の世界でもやはり現在と同じように、一握りの「売れる芸術家」とその他大勢の「売れない芸術家」に別れてしまうのかもしれません。

    そして恐ろしいことにその未来の世界では、たとえ自分が「売れなかった」としても、もはや普通の仕事は人工知能に奪われてしまっていて、退場することができないかもしれない。


    テレビで見た物理学者は言いました。

    「政治家や企業家は富は誰かから奪うものだと考えている。だけど私は科学者として、富は産み出すことができるものだと信じている」と。

    それはとても耳心地のいい、ポジティブな言葉に聞こえるかもしれません。でもそれは、言い換えればこういうことなのでしょう。

    「未来の世界では、自分で富を作り出せるものだけが豊かになる」と。

    笑いを産み出せる者のみが「売れる芸人」になるのと同じように。


    だけどこの物語は、芸人のような「評価される社会」がそんな単純なものではない、と言うことを映し出しています。

    もちろん面白いから売れる芸人というのはいます。でも、面白くなくても売れている芸人だっているし、面白くても売れない芸人もいるのだから。

    芸人にとっての「笑い」、芸術家にとっての「美」、科学者にとっての「真理」、それらがなんなのかは曖昧で分からないまま、にもかかわらずそこに人からの評価が与えられ、「売れる者」と「売れない者」が明確に分けられてゆくのだとしたら。


    およそ100年前に夏目漱石が「こころ」を書いたとき、一体当時のどれだけの人が「先生」の苦悩を自分のこととして考えたでしょうか。

    同じように今の僕たちはこの物語を、「芸人」という、どこか一般人の自分とは違う人の物語のように感じるかもしれません。

    でも、もしかしたら、30年後はそうではないのかもしれない。

    30年後、「芸人」でにこだわるがゆえに「芸人」として成功できない神谷の物語は、もしかしたら、今よりももっと一般的なものになっているかもしれない。


    だけど、売れない芸人たちが残酷な世間の中でも「笑い」を産み出してゆくように、未来の僕たちもきっと、残酷な世界の中で何かを産み出してゆくのでしょう。

    世間の残酷さが曖昧な何かにあるのと同じように、「笑い」や「美」や「真理」の源泉もまた、何かが好きでたまらないという僕たち自身の曖昧な何かの中にある。

    だけど、売れない芸人たちが残酷な世間の中でも「笑い」を産み出してゆくように、未来の僕たちもきっと、残酷な世界の中で何かを産み出してゆくのでしょう。

    世間の残酷さが曖昧な何かにあるのと同じように、「笑い」や「美」や「真理」の源泉もまた、何かが好きでたまらないという僕たち自身の曖昧な何かの中にある。

    だから、成功しようとしまいと、何かが好きでたまらない人がいたら、僕たちはきっと「やってみろよ」と言うでしょう。たとえどのような時代であったとしても。


    未来も、今だって、夢のようにはいかないけれど、別に絶望するほどのこともないのかもしれない。

    僕たちを苦しめる厳しさの元凶でもあり、同時に僕たちが生きる希望でもあるその「曖昧な何か」は、昔も今も、そして未来も、きっと変わることはないのだから。



    その他、ロボットや科学の未来についての話。

    合理的であることが倫理的であるとは限らない世界〜「ギヴァー 記憶を注ぐ者」ロイス・ローリー著

    空を見上げるロボットを遺せたら、人類は本望かもしれない。〜「ハル」瀬名秀明著

    巨大ロボットと坂の上の雲。〜「蒼穹のファフナー ADOLESCENCE」冲方丁著

    カズオ・イシグロが描きたかったこと、それはきっと「こいつ、キモイ!」ということなのだ。〜「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ著
     
    火花

    又吉 直樹 文藝春秋 2015-03-11
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